「+Diary:s」 blog no.10 - hiro onodera
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2005.03.06 | Posted by

いつもの2倍の筋肉を使いながら、女性がいる手前笑顔で運搬作業を終わらせて
おいらたちは無事車に乗り込んだ。
流石に200人分のカレーとご飯というのは結構な重さだ。
ワゴン車には運転手におかみさん、助手席にAYA、後部座席でカレーが
ひっくり返らないように押さえているのがチカラとおいら二人の仕事。
おいらたちはツイスターゲームのような格好で鍋を押さえながら、車の振動に耐える。
結構みっともない姿を曝しているぞ、正義の味方。

車に乗った後に、おかみさんから紹介されて初めてAYAと言葉を交わした。
「こちらボランティア(?)で来て下さったオノデラさんとチカラさん。
こっちの女の子はAYAちゃんよ。」
AYAは少しはにかみながら、おいらたちに挨拶をした。
「コンニチワ」
おいらははいつものシャイな部分を覆い隠して
「宜しくお願いします。」
と好青年を装って答えた。
正義の味方の物語には、ラブストーリも必要だ。いや、必須条件だ。
凄惨な被災地でこうゆう出会いがあるもんだと、妙に納得していた。

おいらの想いとは裏腹に、おかみさんとAYAは今日出航する船の時間について
話し合い始めた。ボランティアの方々もおいらたちも午後三時半に三宅島を出る船で
帰る予定だったのだ。現在の時刻は十時半。ボランティアの方々が食事する公民館を
往復しても十分間に合う。

何となしに聞こえてくる彼女らの会話が耳に入ってくる。こちらはカレー鍋を
押さえつけるので精一杯だから、なかなか会話に入り込めずにいた。
そのような状況の下、おかみさんとAYAの二人の会話だけを聞くだけの羽目に
陥っていた。
だが、何となくAYAがしゃべる日本語に違和感を感じた。カレー鍋を押さえながら。
そう、仙台弁で「いずい」というやつである。
正式には「なんだかいずいなや」って感じ。
暫く彼女たちは出航時刻に遅れないようにおいらたちを送って行く段取りについて
話し合っていたのだが、そのうち段々と自分自身の好奇心を抑えることができなく
なってきた。何度聞いても彼女のイントネーションがおかしい。
一歩間違えれば大変失礼な言葉になる為、普段なかなか口にだせない台詞を
おいらは我慢できず(恥ずかしげ)に口にした。
「AYAさんって、日本人なんですかねぇ?」(語尾は小声で)
するとAYAが答える代わりに、すかさずおかみさんはこう言った。
「全然日本人と区別がつかないでしょ。AYAちゃんはね、日本人じゃないの。
彼女、フィリピン人なのよ。」

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