怒涛のような昼食・セレモニーもやっと終わった。給仕の仕事も終わった。
食べ終わったお皿などの片付けも終わった。
これでほんの僅かでも人様の為になるようなことができた。
俺はやったぞ俺はやったぞって感じ。
正義の味方も一安心。
公民館の中には今日も夏のジリジリとした南国の太陽の光が差し込んでくる。
つられてセミも鳥も鳴きだす。窓から吹き抜けてくる潮風がたまらなく心地いい。
みんなで一息つきながらAYAやおかみさんなどの給仕メンバーで談笑する。
午後の祝福なひとときだ。
そこで新たに分かったことはAYAはおいらと同い年で、普段は忙しい民宿を
回りながら食事を作る手伝いなどをしていること、島の人たちはみなやさしく
彼女に接してくれていることなどを知る。
でも、そんなやさしさを彼女が甘受できるのは、AYAの飾り気のない
人間的魅力に基づいた力なんだろうなとおいらは感じた。そんなに多くの言葉を
交わしたわけではないが、彼女の持つ和やかな雰囲気、テキパキとした素振り、
島の人々の彼女への接し方をみていると本当にいい娘なんだろうなと感じた。
もし学生時代に同じクラスメイトだったら、おいらは絶対に惚れちゃうんだろな。
そしてラブレターなんか手渡しちゃって
「つきあってください」
って、告白しちゃうような女性なんだろうなって勝手に思っていた。
それを彼女が快く受け入れてくれるかは定かではないが。
人間的魅力に、国籍なんか関係ないよね。
皆さんと輪になって、他愛もない「八丈島と三宅島のくさやの味の違い」
について話が盛り上がる。一通り談笑。
そして、おかみさんからは、
「いろいろ手伝ってくれてありがとうね。本当に感謝してるわ。」
との儀礼的ではない、素晴らしく心のこもった感謝の言葉と笑顔をもらった。
何だか照れるな、たいしたことしてないのに。
他のおかみさん方からもお褒めの言葉を頂いた。
普段日常生活で誉められたことがないから、照れまくる正義の味方。
正規ボランティアにならなくて良かった。
三宅島に来て良かった。
暫くAYAさんとおかみさんとチカラの4人で三宅島の今後について
一通り話し合った後、車の中からおいらが気になっていたことを
AYAさんに質問してみた。
それは素朴な質問なはずだった。
「AYAさんはもう長いことこの島で働いているみたいだけど、
どうしてこの島にやってきたんですか?」
サラリと聞いたつもりだった。
しかし、AYAの代わりに答えてくれたおかみさんの台詞により、おいらは
言葉を失った。
そう、全てが変わってしまったのだ。おいらの心は使用前と使用後くらい劇的に変化した。
おかみさんは少し額に皺を作りつつ、笑顔が消えた顔になっておいらにささやいた。
「AYAちゃんはね、この島に逃げてきたのよ。」
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