「+Diary:s」 blog no.10 - hiro onodera
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2005.04.12 | Posted by

少しずつ頭が冷えていく。すると次々とこれまで彼女について不可解だったことが
分かり出す。
なぜAYAは寂しいそうな雰囲気を醸し出しているのか。
なぜ彼女の瞳に、あれほど力を感じたのか。
なぜ彼女がAYAという名前をつけてもらったのか。
なぜ彼女が頑なに新聞社の写真に写ることを拒否していたのか。
なぜこの危険な三宅島に居続けなければならないのか。
今なら分かる。全ての謎は解けた。
何故ならAYAは十年間も逃げ続けているからなのである。それは今も変わらない。
逃げ続けているからこそ写真に写ることに対して、あんなに激しい拒否反応を
起こしていたのだろう。
いったい彼女はどんな悪いことをしたっていうのだろう?

AYAは今も逃げ続けている。10年間も。しかもそれは彼女の10代から20代にかけてだ。
ふと自分に置き換えてみる。彼女が逃げ続けていた10年間においらは高校と大学を
卒業して社会人になった。その期間はあまりに長すぎる期間だ。
おいらの青春そのものだ。彼女はその間、華々しい青春時代ともいうべき10年間を
異国の地で、逃亡者としてこの三宅島で過ごしてきたのだ。

どんどん想像が止まらなくなる。
おいらはやっぱり世間知らずだった。世の中でそんなことが起きているなんて。
そんな悲惨な出来事が日常的に起きているなんて何も知らなかった。言葉もなかった。
そこにあるのは無力感だけ。
人身売買って何なんだよ。どこにそんなことを許す法律があるっていうんだい。

しかし、おかみさんの次の言葉で少し救われた気がした。
「この島の人たちでAYAちゃんのことを匿ってあげているのよ。余りにも可哀想
だったからね。もう、かれこれ十年も経っちゃったけどね。」
飾り気のない笑顔でおかみさんは微笑んだ。

それを受けて、AYAはぽつりと言った。
「イツカ、フィリピンヘ帰リタイデス。」
おいらは言葉がでなかった。かけてあげるべき言葉を捜していた。彼女は話し続ける。
「何時ノ日カ、自分ノ国ニ帰ルコトヲ夢見テマス。ソノ為ニズット貯金シテキマシタ。
家族ノモトニ帰リタイデス。フィリピンニ帰リタイデス。」
やっぱり、おいらの脳みその性能では何と声をかけていいのかわからなかった。
自分が情けなかった。
正義の味方も台無しだ。

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