[author] 立石 泰則
堤義明(もしくは堤一族)については以前からなぜかなんとなく気になってた。世間で「カリスマ」といわれる人物には、多かれ少なかれ威厳というか魅力というか存在感のようなものがあると思うのだけれど、堤義明氏に対してはなぜか自分はまったくそういった空気を感じなかった。疲れ気味のおじさん?なぜ彼がカリスマなのだろう(あるいは「だった」のだろう)・・・。
本書を読むと、先代堤康次郎氏(彼は確かにカリスマ的人物)に端を発する「西武グループ」拡大の顛末がさっくりとわかる。堤家の人間関係や人物像もさっくりとわかる。「セゾン」を率い時代の寵児として脚光を浴びた兄・清二氏と、父の地盤を堅実に守った弟・義明氏。清二氏が攻撃的な戦略の末に経営者として失脚するのと対照的に、着実にグループの資産を拡大し財界における信用も獲得していく義明氏。どうやらその堅実さ・信頼感が業界で「カリスマ」と呼ばれた由縁であるようだ。
もっとも先般明らかにされているように、その西武グループ的堅実さの裏には様々なカラクリがあったようで、一族経営の歪さが次々と浮き彫りにされてきている(先日も義明氏の弟なる人物が「コクド株は堤家の財産」的な発言をしていて唖然)。「先代の教えを忠実に守っているうちに自身の考えと先代の考えの区別がつかなくなってしまった」という主旨のコメントをかつて発したという義明氏。筆者はそれをとらえ「淋しきカリスマ」と評したわけだが、そこに含まれる同情のニュアンスをどう理解するは各読者にゆだねられることになりそう。
個人的には、彼が果たして「カリスマ」と呼ばれるに値する人物なのか、読後も疑問なり。