エスファハンよりさらに南へ500キロ、イランの「芸術と文化の町」、シーラーズにやってきました。
何ゆえ「芸術と文化の町」かというと、かつてイランを代表する2人の詩人、サアディー(1207-1291)とハーフェズ(1324-1389)がこの町で生まれ、活躍したため(とくにハーフェズはイラン最高の叙情詩人として評価されているらしい)。それぞれの棺のある廟は、現在も参拝客でにぎわっているとのこと。
(町の中心から少し離れているため、ぼくは訪れませんでした)
芸術と文化、のためかどうかはわかりませんが、シーラーズの町には映画館がいくつもあって、僕もちょっとのぞいてみました。外国人だったからか、受付のおじさんは「ウェルカーム!」みたいな感じで、チケットなしでも入れてくれました。こういうところ、イランの人はとても鷹揚です。
映画は途中から見たのだけれど、なかなか凄絶な内容。美しい女性がなぜかドラッグ中毒になっていて、その理由を弟(たぶん)とその友人たちに告白する。愛する先生を殺され、自暴自棄になったところを悪い男にだまされて、薬漬けにされ、金持ちの親父に売り飛ばされ、そこを何とか脱出、現在に至る...みたいな内容。そのヤク中女性の演技がすごくて(目がいっちゃってる)ちょっと気持ちが悪いなあ、なんて思いながら見ていたのですが、気がつくと館内のあちらこちらからはすすり泣きの声。台詞がまったくわからなかったのでなんともいえないのですが、なかなかに感動的というか感傷的な告白だったようです。そういえば弟たちも話を聞きながら涙ぐんでたな...。
それで映画のほうは、弟たち4名の若者が復讐に立ち上がって、木製バットを手に、悪い男のアジトのようなところを襲撃して、そこにいたヤク中どもと悪い男とをぼこぼこにする、というオチ。どうも弟たちは警官か軍人のようなんだけど(そろいの制服を着ていた)、細かいところまではわかりません。木製バットで襲撃(しかも材木屋で特注で作ってもらってた)というのは驚きだったけれど、暴力の描写がハリウッドみたいに演出されてなくて、台本なしの一発撮り、みたいな感じで、妙に生々しかった。ちなみにイランでは、薬物取締りには極刑をもって臨んでいるらしいです。
(映画の話を長々とすみません。ぜんぜん町の説明になってませんね...。)
脱線ついでにもうひとつ。
イランにおいて、僕が個人的に、一番困ったことはなんでしょう?
トイレ?
ノー。いわゆる「トルコ式」トイレは、慣れてしまうとかえって清潔で快適。I'm lovin' it!
言葉?
これはこちらの英語力の問題で、特にイランに限ったことではないので、ノー。(ホテルのフロントなどではたいてい英語が通じます)
食事?
これもノー。トルコ料理ほど旨い!ってわけじゃないけれど、レストランではかなりちゃんとしたケバブ(肉の串焼き)など食べられるし、ピザやハンバーガーなどのファーストフードの店もあって、ハンバーガーはマクドナルドなんかよりよっぽどちゃんとしてます。
正解。
道路の横断、です。
イランの道路事情はテヘランのところでも書きましたけど、産油国ってこともあってか交通量が多くて、しかもみな運転が荒い。そこへもってして、信号というものが街中にもほとんどないんですね。だから、道路の向こう側に渡ろうとしたら、車列のなかにざぶんと飛び込むというか、もぐりこむしかないのです。これが僕にはなかなか至難の業...。
地元の人を見ていると、とくにあわてることもなく、車のちょっとした途切れた隙にゆっくりとした歩調ですいすいと入っていって、車のびゅんびゅん走っている道路の真ん中でちょっと立ち止まったりして、また隙を見つけては向こうまで渡りきってしまうのです。終始ゆっくりとした歩調で。
観察の結果われ思うに、ポイントは「道路の真ん中で立ち止まる」ことができるかどうか、のようです。幹線道路は片側2車線とか3車線あるので、とても一気に渡りきってしまうことはできなくて、一列ずつクリアしていくしかないのですね。だけど実際のところ、車がびゅんびゅん通っていく中で無防備にも立ち止まるということは、慣れない者にとっては相当難しい。イラン人の運転を信用できなければ、なかなか立ち止まれません。(そして僕はいまいち彼らの運転を信用しきれていないのです。残念ながら)
たまに信号のある交差点もあるのですが、普段あまり信号で止まるという習慣がないためでしょうか、車も人も、赤信号だろうがなんだろうが、隙があれば我が道をゆく、という態度で一貫しています。交差点に警官が立っていても、さすがに車は止まっていましたが、人のほうは信号無視で行き来していました。
というわけで、僕はいまだに道路を横断するのに苦労していて、ほかのイラン人の後ろにくっついてそそくさと渡っているような有様です。
その土地ごとにいろいろなローカルルールがあるけれど、ある種のものは確かに、新参者にはなかなか馴染めなかったりしますね...。中国のマンホールとか。
ベトナムのホーチミンで自分も道路の横断がなかなかできませんでした。
ベトナムの場合は100ccのバイクで、その意味では車よりもぶつかってもいい気がします。
現地で知り合った方に「道路の横断が怖いねー。」と言ったら、「あなたは横断する時に相手の目を見ないから危ない。」と言われました。
車でもバイクでも向かってくる相手の目を見て横断すると大抵の人は轢かないそうです。
ついつい日本人の性で目を逸らしがちですが…
感じるんじゃない! 見るんだ!!
イラン、パキスタンと2週間ほどで、ようやっとコツをつかんできた模様。
急に飛び出すとか、相手に予測不可能な動きをしてはいかんみたいだね。
あとは、目で語りかける、か。それは気づかなかった。
「行ってもいい?行くよ?」「まだだめ」みたいなコミュニケーションが必要なわけやね。
中国も同じ。だんだん慣れてきて、普通に横断できている自分がコワい。。。