「+Diary:s」 blog no.9 - by okumiya.
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2004.09.06 | Posted by | 2004年 中欧〜アジア

ヒンズー教の聖地、バナーラス。

この地の存在は、我々ヒンズー世界の外に住む者たちにとってすらあまりにも有名だし、ここで営まれているヒンズーの人々の行い、たとえばガンガーでの沐浴や死者の火葬についても、多くは知識あるいは情報としてすでに我々の知るところである。

しかし、これほど「知る」ことと「感じる」ことの乖離した世界が、他にあるのだろうか・・・。


バナーラスは表向き、普通のインドの大きな町、といった印象だ。道が混んでいて、牛がいて、多くの人々はアグレッシブで、よく停電する。これがあの「聖地」なのか、といささか拍子抜けしてしまう。

しかし、バナーラスを体験した多くの人々が語ることだが、ヒンズーの真髄としてのこの地はやはり、ガンガーと切り離すことができないのだと思う。ガンガー沿いに広がる路地裏のヒンズー的な世界は、まったく、ひとつの独立した世界だった。正直にいって、ぼくにはそれしかわからなかった。違う。ぼくの住む世界とは決定的に違う。

これまで何度か「ここは違う世界だ」と感じたことはあった。けれど、知識とか理性とか想像力とかを働かせて、それでもだめなときは単にそれを受け入れて、そうすることで多少なりとも「わかった」という手ごたえを感じることが出来た。その「わかった」中身が、実はその世界の本質を捉えていないとしても(多くの場合がそうであろう)、しかし少なくとも、ぼくにとってその世界はそのように感じられたのだし、理解されたのだ。そういった「手ごたえ」のようなものがあった。たとえその「手ごたえ」をあとでうまく言葉で表現できなかったとしても。

朝日の昇るガンガーを見た。その岸辺での火葬も見た。火葬場の脇で焼かれることもなくガンガーに浮かぶ貧しい人の死体も見た。ぼくの乗った舟の船頭はあたかもそれがサービスだとでもいわんばかりにその死体のすぐ脇を通っていった。横のガートで体を洗い口を漱ぐ人々を見た。沐浴する人々を見た。人々に混ざりぼくも沐浴をした。しかしここでは、見ても、試しても、人と接しても、それらを通じてこの世界が「わかった」と感じたことは、ついぞなかったのだ。ヒンズー世界は聖なるものと俗なるものとが渾然一体となっている、生も死もつながっている、などというけれど、そういう知識はここでは、この現実の前では、まったく無力だ。ガンガーの路地裏を歩いている時、だからぼくは怖くてしかたがなかった。どこにも寄る辺のない、迷子のような心境だった。

おそらく、この世界を「わかる」ためには、いま持っているすべてのものを捨てここに飛び込むしかないのだろうと思う。あるいは、輪廻の果てにこの地に生を授かるか・・・。しかし、ぼくはこれまでのぼくの世界を捨てることは出来ないし、そんな覚悟はない。だからぼくが言い得るのは、ただ、この地にはぼくには理解することの出来ない価値観を持った世界が確かに存在した、というだけである。ただひとこと、「わからなかった」と。

コメント
2004.09.14 00:47 | Posted by kato

>しかし、これほど「知る」ことと「感じる」ことの乖離した世界が、他にあるのだろうか・・・。

そんな事言われると余計に行きたくなる。。。
いまんとこ、絶対に行かなきゃいけない場所ランキング1位だよ。今まで何回かインドに行こうとしたけど、休みが取れなかったり、チケットがなかったりでなかなか行けない。

2004.09.15 12:50 | Posted by おくみや

インドは、刺激的という意味ではこれ以上の場所はあんまりないんじゃないだろうか、と感じた。
長くいるときっと疲れちゃうんだろうけれど・・・。

自分は今回カルカッタに行けなかったので、かとちゃん、ぜひ行ってみて。
ガイドブックによると、ある意味一番インドっぽいところらしい。

2004.09.16 10:40 | Posted by kazuya takano

>この地にはぼくには理解することの出来ない価値観を持った世界が確かに存在した

自分はいままでの旅の中で、理解を超える場所を見つけたことがない。
その点で、とても羨ましく思うよ。
旅の、それ自体の意味が自分の世界を広げることであるなら「理解を超える場所」に出会うことは、たとえ理解できていなかったとしても自分の世界を大きく広げるのだろう。
おっ、そうなると旅に大切なのは「理解」ではなく「感じる」ことなのかな…

「価値」は相対的なものだけど、「価値観」は主体的なものだね…って、当然か…。

2004.10.02 05:02 | Posted by onodera

バラナシはね〜、行った人じゃないとこの感覚を伝えるのは難しいんだろうな〜。取り合えず、俺は泣いた。

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